十々海レッカ2

14/14
1997人が本棚に入れています
本棚に追加
/415ページ
その中で、彼女だけが唯一、僕の想像した通りだった。 考えていた妄想が、そのまま具現化したような存在だった。 錦之宮楓。 キラキラと青春時代を過ごしているような。クラスの中に光る一番星のような。 漫画やアニメに出てきそうな。僕が想像していた学園生活のキャラクターの一人のような。 そんな人だった。生徒だった。 彼女はニッと僕に向かって笑った。眩しいくらいの笑顔。この学校でそんな顔を見たのは、初めてだった。 誰よりも強く、そして恐ろしい力を持つ彼女が。 この日本どころか、地球どころか、銀河にまでも力の及ぶ彼女が。 このクラスの中で誰よりも輝き、活発で、笑顔の絶えない生徒だった。 皆が力に怯え、縮こまる学校で。 最も強い力を持つ彼女が、最も輝く笑顔を持っていた。 その事に一番、驚いた。
/415ページ

最初のコメントを投稿しよう!