十々海レッカ15

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レストランに入ると同時、まず目に付いたのが星空だった。満天の星が、水平線と並んで見えている。レストランの窓から見えている。 レストランと言いながら、中は建物のような重厚な造りではなく、藁や木を主体とした軽い造りになっている。 金属系統があるとしたら窓ガラスくらいか。円形の店内をぐるりと囲うように窓ガラスが設置されており、景色を眺められるように設計されている。 窓ガラスは開ける事もでき、波風に当たりながらの食事も可能だ。 ただオーナー曰く、夏場は光に集る虫が多いためオススメはしていないという。レストラン側も害虫に関しては気を配っているものの、やはりどこからか入り込んでしまうものらしい。 僕がレストランに入った時も、全ての窓は閉まっていた。別段波風に当たりたいとは思わないので、窓を開けるつもりはない。そんな事をしなくても景色は十分綺麗だしな。 余分な建物が一切ないため、水平線が大きく広がり、そのすぐ上には星空が見えていた。水平線と一緒に星が見れる絶好の場所だ。 都会とは違い、満天の星々がとてもよく目立つ。 「十々海様。よくお似合いです」 「あぁ。ありがとう」 ボーイの人がサラリとお世辞を言ってくれる。僕の服装に対して決まり文句のように言葉を並べてくれる。 服は悩んだ挙句、店員さんに任せた。丸投げした。ぶん投げた。いや、決して乱暴にしたと言うわけではなく。優しくぶん投げた。優しく丸投げした。 似合うのを選んでくれと、そう言ってあつらえてもらった。 そもそも服の良し悪しは僕の中ではさっぱりなので、まぁその辺はプロに任せた方が良いだろうと思った結果だ。 暗殺は僕たち暗殺者に任せてもらった方がいいのと同じで、服のチョイスもプロにまかせるのが一番だ。 変な注文を付けられるよりやりやすい。だから丸投げした。繰り返すが、丁寧に丸投げした。
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