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「よく……似合っている」
「あれ?先生、もしかして照れてる?」
「そんな事はない」
「顔赤いよ?」
僕は彼女から顔をそらした。目だけでなく、体ごと彼女からそらした。赤くなった顔を隠すみたいに。自分から出ている何やらピンク色のモヤモヤを隠すみたいに。
赤いよ?と言われ、その切り返しが思い浮かばない。そらした目線の先にたまたまワインセラーが置いてあったから。
「酔ったんだ」
と言う切り返しになった。いや僕よ。料理も始まっていないのになぜ酔うんだ。
自分でも情けなく感じる下手な切り返し。彼女はそこを容赦なくついてくる。
「私に?」
「どうしてそうなる」
ダメだ。単調な切り返ししか頭に出てこない。頭が回らない。切り替えなくては。いつまでも緊張なんてしていられない。
僕もまだまだ修行が足りないな。まさか女子高生のドレス姿を見て緊張してしまうとは。
いやいや、違う。これは緊張などではない。異性として緊張した訳ではない。ドキドキした訳ではない。ただビックリしたんだ。
そう。ビックリしたんだ。彼女のその衣装に。その姿に。
決してときめいた訳ではないぞ。違うぞ。
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