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ボーイの人が席に着いた僕たちを確認して、ワイングラスに飲み物を注いでくれる。
トクトクトクッとビンから注がれるその液体を見ながら、錦之宮楓は目を泳がせた。あたふたとしだした。
そして僕に助けを求めるようにこっそりと小声で話してきた。
「私お酒飲めない」
「知ってるよ」
知ってると言うか、いやそもそも未成年だろう。君はまだ19だろう。
飲める飲めないではなくて、飲んじゃいけない。日本の法律がそれを許していない。
いや暗殺者の僕が法律をどうこう言える立場ではないが。
今注がれたのは白の葡萄ジュース。僕がアルコール類は除いてもらうように頼んである。
僕も僕でアルコールが飲めない訳ではないが、暗殺前に酔う訳にはいかない。たかがアルコール程度で手元が狂うなんて事はないが、万が一も想定して万全を期すのが一流だ。
特に今回、失敗は許されない。アルコールなんかで棒にふる訳にはいかない。
この後、きっちり僕は結果を出さないといけないのだから。
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