十々海レッカ15

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「ほら!」 彼女が僕にタブレットの画面を見せてきた。そこに映っていた物を見て、僕は目を丸くする。 彼女が見せてきたタブレットの画面を見て、僕は口を開いた。 「それは……」 「へへへ。実は復元できるんだよ」 そこに映っていたのは、自分で見るのも恥ずかしくなるような満面の笑みを浮かべた僕だった。 暗殺者の「あ」の字もないような、普通の人間として砕けた笑みを浮かべる僕の姿だった。 車の中で錦之宮楓に撮られ、消してもらったはずの写真だった。 「復元って、それは反則だろう」 「へへへー。タブレットを使いこなす若者を舐めたらだめだよ」 「どうやって復元するんだ?」 「教えなーい」 「っ……!」 錦之宮楓からタブレットを取り上げようとしたが、それよりも先に彼女がドレスのポケットにしまった。 それと同時にボーイがデザートを運んできた。僕は渋々大人しく席に着いた。 むむむ。まさか削除した写真を元に戻せるなんて。復元なんて事ができるなんて。これでは僕の一人損ではないか。
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