十々海レッカ15

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「初めての先生の写真だし。すんなり削除する訳ないじゃん」 「君には負けるよ。錦之宮」 「またいつか撮らせてあげるからさ。私のも」 「そうやって、撮っても良いですよーって感じのところを撮っても面白くない」 「え?盗撮が趣味って事?」 「いや、そういう訳でも……」 何を言っているんだ、僕は。話だけ聞いていればさっきの発言は完璧に変態ではないか。 いやでも、撮られると思ってなかった彼女を撮るから、いじり甲斐があるのであって。身構えてないそのままの彼女を撮るから、それをネタにいじる事が出来るわけで。 さぁどうぞ!って感じでポーズを決められても、何だかそれはそれで別に普通の写真だからなぁ。撮られる事を分かっている姿だからなぁ。 無防備な素の姿がいいんだ。寝顔みたいな。全く警戒していない、カメラを向けられているとも知らない、そんな無防備の姿だから撮りがいがあるんだ。 ……ちょっと待て。文章だけ見たら変態だな。でも違うぞ。文章でニュアンスを読み取ってほしい。ありのままの文章を読解するのではなく、僕の気持ちを読み取ってほしい。 つまりあれだ。無防備がいいんだ。その方がいじめ甲斐があるんだ。 「先生ってやっぱり変態……?」 「違う。断じて違う」 「だって人の寝顔を撮って興奮するんでしょ?」 「興奮はしない」 楽しくはあるが。寝顔を撮ってて楽しかった事は否定しないが。 いやちょっと待て。何だか自分で言っておきながら、変な言葉に思えてきた。文脈的になんだか変態路線に偏ってきている気がしてきた。 違うぞ。僕はそんな趣味も性癖もないぞ。
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