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「初めての先生の写真だし。すんなり削除する訳ないじゃん」
「君には負けるよ。錦之宮」
「またいつか撮らせてあげるからさ。私のも」
「そうやって、撮っても良いですよーって感じのところを撮っても面白くない」
「え?盗撮が趣味って事?」
「いや、そういう訳でも……」
何を言っているんだ、僕は。話だけ聞いていればさっきの発言は完璧に変態ではないか。
いやでも、撮られると思ってなかった彼女を撮るから、いじり甲斐があるのであって。身構えてないそのままの彼女を撮るから、それをネタにいじる事が出来るわけで。
さぁどうぞ!って感じでポーズを決められても、何だかそれはそれで別に普通の写真だからなぁ。撮られる事を分かっている姿だからなぁ。
無防備な素の姿がいいんだ。寝顔みたいな。全く警戒していない、カメラを向けられているとも知らない、そんな無防備の姿だから撮りがいがあるんだ。
……ちょっと待て。文章だけ見たら変態だな。でも違うぞ。文章でニュアンスを読み取ってほしい。ありのままの文章を読解するのではなく、僕の気持ちを読み取ってほしい。
つまりあれだ。無防備がいいんだ。その方がいじめ甲斐があるんだ。
「先生ってやっぱり変態……?」
「違う。断じて違う」
「だって人の寝顔を撮って興奮するんでしょ?」
「興奮はしない」
楽しくはあるが。寝顔を撮ってて楽しかった事は否定しないが。
いやちょっと待て。何だか自分で言っておきながら、変な言葉に思えてきた。文脈的になんだか変態路線に偏ってきている気がしてきた。
違うぞ。僕はそんな趣味も性癖もないぞ。
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