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「ホテルで一緒に寝る時に撮ればいいじゃん」
「君といつそんな約束をしたんだ」
「寝顔撮り放題だよ!想像しただけで興奮するでしょ?」
「錦之宮。少し落ち着こうか」
寝顔撮り放題って何だ。焼肉食べ放題みたいに言うな。そして声を荒げるな。何で君が興奮してきているんだ。
寝顔撮り放題と言いながら興奮する女子高生があるか。君もたいがい怪しい路線を走っているじゃないか。
そもそも僕は興奮しないし、撮り放題も言われても撮らないし。寝顔撮り放題なんてプラン、立てないし。
と言うかホテルにも行かないし。僕が訴えられたらどうするんだ。最近多いんだぞ。教師が生徒を襲ったりするの。
君はもう少し危機感を持て。僕が狼だったらどうするんだ。
「っはー。美味しかった!」
僕の考えを他所に、彼女は最後のデザートを食べ終わり、グッと伸びをする。
両手を上に伸ばす。
こらこら、ドレスなんだからもう少し大人しくしなさい。せっかく綺麗に着れているのに、崩れるだろう。
「ねぇ先生」
「ん?」
錦之宮楓がチラリと時間を確認する。
22時。
予定通り、レストランの従業員はいなくなっていた。すでに避難していた。
レストランの中にある気配が、僕と錦之宮楓だけになっていた。
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