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「私の暗殺方法を見つけてくれたんだなぁって。すぐに分かった」
「すぐに……」
「うん。私が泣き喚いたあの日」
泣き喚いた。
それは間違いなく、錦之宮楓の両親が死んだ日。錦之宮楓が、僕の目の前で泣き喚いたあの日。
今からちょうど二週間前だ。
彼女の言う通り、僕はその日に彼女の暗殺方法を発見した。きっかけを見つけた。
その時はまだ仮定の話ではあったが、あの瞬間がヒントになった事に間違いはない。
つまり彼女は、そんな些細な事を見つけた僕の僅かな変化を、泣きながらしっかりと見ていたのか。
泣きながら見ていた。泣きながらでも分かってしまうくらいに、僕は分かりやすくなっていたのか。
その後、何度か検証もした。もちろん彼女に気が付かれないようにだ。
彼女が寝ている時に、僕は彼女とナイフの限界距離を測った。実験をしてみた。
結果としてそれは、殺意の量だけナイフが離れたり近付いたりする結果となった。
殺意が多ければ離れる。
殺意が少なければ近づく。
そういう結果になった。
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