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「考え直す事は……ないのか」
「考え直す……?」
「そうだ」
彼女の中で、死ぬ決断は揺るがない。揺らいでいない。目を見れば分かる。彼女は僕みたいに、ゆらゆらと揺らされていない。
あんなにも楽しそうに笑い、楽しみ、充実した1日が過ごせたのに。
遊び、はしゃぎ、最高の1日が出来上がったと言うのに。
それでも彼女は死を望む。
暗殺していいよと、僕に言う。
暗殺を促す。
もう一度この1日を過ごしたいとか。また次もこんな風に笑いたいとか。そんな事を一切言わず。
今日で終わりだと感じ取り、決意し、彼女はそれを示す。僕に向かって、その意思を示す。
「君が死にたくないと言うのなら……」
錦之宮楓。もし君がこの先もたくさん笑いたいと言うのなら。楽しい時間を過ごしたいと言うのなら。もっともっと色んな経験をして行きたいと言うのなら。
生きていたいと望むのなら。
僕は。
「僕は君を守る人間になる」
暗殺者ではなく、君の付き人になろう。
君を守る存在になろう。ずっと君の側にいよう。
君が望むのであれば、僕はその希望に添おう。
君が生きたいと望むのなら。大人になりたいと願うのなら。
その全てを、僕は全力で叶えよう。
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