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「十々海レッカ。君は前の職業、本当に保険体育の先生だったのか?」
小林八千代が去った後、思わず尋ねてしまった。聞かずにはいられなかった。
彼の行動が、言葉が、あまりにも一般的とは言い難かったから。
保健体育の先生だったとは思えなかったから。
その質問に彼は答えた。
ニコリと、生徒に向けるような笑みを作って。
「そうですよ」
こいつの事が分からなくなる。生徒の事をするすると理解しだすこいつを見ていると、怖くなる。
凄いとは思う。でも同時に、薄気味悪さを覚えてくる。
得体の知れない何かが、目の前にいるみたいで。異能力以上の、摩訶不思議な力を備えた人間が、存在しているような気がして。
こいつは何者なんだ。何度も問いかけるそれに、答えなんて出ない。自問はするけど、自答はできない。
答えをくれる奴なんていない。
その問いの答えを模索するより先に、次の生徒が入室した。
最後の生徒。
錦之宮楓が入室した。
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