第一章

3/17

198人が本棚に入れています
本棚に追加
/99ページ
同時に左腕が奇妙にだるくなったり、症状は消えるのも早かったな。 下顎から喉にかけて詰まるような,絞めつけられるような変な感じと、奥歯がうずく感じ。 でも、耳鼻科や歯医者さんでは問題なしの話だった。 食事の後に,みぞおちあたりに軽い吐き気がでて胸やけのような違和感があるがすぐ消えるし。 胃の検査をしたが軽い胃炎と診断されて、胃薬を飲んでも良くならない。 でも、この時点で気づくべきだったもかもしれない。 本当にヤバくなる前は意外と、とても調子が良いということに。 その日は唐突に前触れもなく訪れる。 この時は、俺の得意な算数の授業中。 よしっ。今日は何だか、凄く調子が良い。 なんだか、頭がはっきりとしているしなぁ。 でも、あれ?何でだろ....目の前がチカチカしてる。 なんか、揺れてる!地震かっ? そう思って、辺りを見渡したら驚愕しているクラスメイトの顔が見えた。 「ごほっ!ごほっ!....これって....血」 そして、俺は急に咳き込んだかと思うと、口から吐血した。 気づくと天井が見えて、何度も何度も俺に呼びかける拓誠の焦った表情。 驚きと悲鳴を上げるクラスメイト達、担任の先生の救急車という叫び声。 ほんの数秒の出来事だろうけど、その時の俺には凄く凄く長く感じた。 そして、地震だと思ったのも俺自身が揺れていただけ。 それと同時に、俺は死ぬんだと覚悟を決めて瞳を閉じた。 人は意外とあっけなく死ぬもんなんだな。 そう思ったら、涙よりも笑いがこみ上げてきた。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

198人が本棚に入れています
本棚に追加