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実験対象者の個室は施設内の2階と3階に位置していた。
女性が2階、男性が3階と、性別によって分けられていた。リノの部屋は3階の角部屋で、部屋の作りや家具はヒカリの部屋と同様だった。
リノがブレスネットを扉横に設置された機器に当てると、IDを読み取り、部屋のロックが解除される。
「入りなよ」とリノは扉を開き、ヒカリを中へ招き入れた。
就寝後でない限り、対象者同士の部屋の行き来は自由だったが、今まで話したことのないリノの部屋に入るのに、ヒカリは緊張していた。入口の辺りでまごついていると、「安心しなよ。僕の部屋はここにいる誰の部屋よりも安全だから」と、ヒカリを一瞥し、机の椅子に腰を下ろす。
「安全?」
「そう。ここに来た日に気付かなかった?壁のコンセントの中に盗聴器と、机の上のノートパソコンに監視カメラが付いてたの」
「え?嘘?」
「知らなかったんだ?言って取り外して貰った方がいい。そうしないと、部屋での君の様子が奴らにダダ漏れにだよ。『僕がマスターベーションしてる所も監視するの?』って訊いたら、気まずそうな顔して取り外してったな、あいつら。その時の表情、君にも見せたかったよ」
リノはその時の様子を思い出しながら、クツクツと笑い声を上げた。ヒカリが眉間に皺を寄せて、リノを見ていると、
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