シナナイ ミライ

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講義室に集められた臨床実験の対象者は、30人程だった。 最前医療機構と名乗る団体から案内状を貰って、両親と相談し、ヒカリはこの臨床実験に同意をした。 下は9歳から最年長は92歳まで、全国各地から老若男女が集められ、実験施設が建つ某所に連れて来られた。 ここが何処なのか詳しい場所は解らないが、周りを山で囲まれた何もない、良く言えば空気が綺麗でのんびりとした、悪く言えば退屈な所だった。 この場所で、臨床実験の期間である1年間を過ごす事になるのだ。 実験施設は、山をくり抜いた所に建てられた3階建ての建物からなっていた。 風呂・トイレは共同になるものの、部屋は各個人に1つずつ与えられた。生活に必要な家具は全て揃っていて、一人に付き一台のノートパソコンも配布された。 携帯電話の使用は医療機器に影響を及ぼすといけないとの事で、一時預かるという形で回収されたが、与えられたノートパソコンでインターネットに接続出来るし、施設内の公衆電話を使用可なので、家族や友達への連絡にも困らなかった。 施設内で着用する服だと白いスウェットが配られ、ブレスネットを着用するように指示された。 そのブレスネットは、一度嵌めると自力で外せない仕組みになっていた。それが自室へのキーの役割りを果たし、施設内を移動する際の個人IDが登録されているのだと説明を受けた。
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