勝てないやつ等のたまり場

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 始めに言いましょう。僕等は、まず人間にめっぽう弱い、勝てないやつ等であると言うことを。そんな僕等がまた、たまり場として来るのもまた、とある人間の家。この家主は、偶然にも僕等を集めるのが趣味の方なのだそう。僕等のことを好きな人に悪い人はいません。むしろ、純粋な少年の心を持っていてとても綺麗なのです。斯く言う僕は誰かって? 良いですか? 聞いて嫌な思いはしませんか? 名前を見た瞬間、「あ、これ見るんじゃ無かった。もう名前すら嫌い。滅んで」とか思っちゃったりしませんか……!? 大丈夫ですか? 本当ですか……。じゃあ、言いますね。僕の名前は、ゴキブリです。……ゴキ、ブリです。  ……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!! やめて、スリッパ持たないで! 殺虫剤向けないで!! 出来ることなら外へ優しく逃がして!!!  駄目ですか? 駄目ですか? 不快ですか? ご、ごめんなさい……でも、僕達も好きでこんな姿に生まれて来た訳じゃないし、もし僕達にも神様に頼む権利があるのなら、次は絶対イケメンに生まれ変わって女の子とウハウハしたいんです!! ……本当に、人間って良いですよねぇ。見た目も僕らよりかは皆幅広くて個性的じゃないですかぁ。何か、僕からしたらなんですけど、ぶっちゃけ人間みんな可愛く見えるんですよね。結構人間関係は大変だと思いますけど、でも好きなこと出来たり、素敵なラブストーリーとか友情ストーリーを経験出来たり、色んな種類のご飯が食べられるってとっても良いなぁって思っちゃいます。あ、今バタンって音が玄関からしました。ご主人が帰って来たようです。わーいご主人っ!! 僕はケースの中でカサカサと動いて待ちます。トントンと近づく足音。目の前の戸がキィと開きました。ご主人の登場です!! 「ただいまの太郎。他のみんなは寝てんのか」  此方が僕のご主人です。ボサボサ頭の眼鏡をかけた冴えない男の人って感じかもしれませんが、意外とよく見るとイケメンなんですよ~! しかも、彼は女子が確実に嫌うであろう僕達を好きだと言い、そして知り合いから頼まれて取った僕達を此処で飼ってまでくれているのです!! 要するに神ですよ、ゴキブリ神、略してゴキ神!!! その所為で彼は彼女と言う存在が出来たことが無いのですが……それは僕としても申し訳ないです。彼自身はあまり気にしていないみたいなんですけどね。
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