序ノ口

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××××× 「何だかんだやってんじゃん」 『…他にバーテン募集出ないんだよ。おかしくない?もう既に3ヶ月って!』 時の流れが異常に早い! 「色々都合があんのよ世の中」 騒がしい店のカウンター越し、アタシの前に座って焼酎呑む 垣内 円香[26] カキウチ マドカ 同い年の親友だけど…男ウケを狙うとこは周りから嫌われてて でも、とことん周りを蹴落とし嫌われまくってる円香は凄く、男の件以外ではいい奴で。 男好きな割に浮気しない。 逆にされてアッサリ切る。 …男と続かない。 浮気しない男と結婚さえしたら物凄くいい奴になるだろう―… 『って信じてるよ』 「はぁ?」 お間抜けな顔を直ぐに取り繕う 何故ってそれは。 「あんたがガールズバーって。ウケるぅ」 『…そのウケるぅ~って言葉…この世から抹殺したいの』 「知ってるぅ」 人を指差して爆笑を堪える円香の口へ、チーズを捩じ込んだ。 「やだ~歯にチーズ生えた!」 大きな声は男の客を惹き付ける可愛さ。 恐るべし。 ガールズバーへ、男探しに来るなんて逞しいわ。 「今日も男…外れ」 『場所が悪いよ』 「あんたは愛想が悪い」 『いいの。あんた相手に…ほら顔は常に微笑んでるでしょが』 「余計怖いの」 『んふ』 「あんたのポジション何だっけ…確か」 『癒し系のお姉さん』 「ブッハ!馬鹿ウケ!」 『アタシが一番適してないのにあの店長…』 「ギャハハ!腹いてぇ!ナイスガイ剛!」 『…』 ターゲットが居ないとなると、可愛さなんて微塵も出さない…それが円香だ。 「は~酒が逆流するわ」 『トイレでどうぞ』 「ね、振ってる?」 『男はね。シェイカーここじゃほぼ振んないよ』 「あたし、あんたが振るの好き…カッコイイもん」 『ならカクテル頼め』 「嫌よ。焼酎かウォッカ専門!ね、髪…あたしもショート―」 『似合わないよ』 「だってショート似合うのって美人て言うし」 『…初耳』 「デマ?」 『デマで~す。んで?何で急に美人路線?』 「婚活パーティーの為!」 『心機一転?』 「うん!でさ、お願い!」 『…何よ』 「付き合って!二人連れなら…五円で済むの!」 『いっそタダにしろッ』 「奢るからぁ」 『五円は嬉しかない!』 「あんたが来ないと…癒し系のポジション奪う!ウケてぇ?」 『ウケんし奪って逆に!』
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