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「遅し!あたしの一生があんたにも掛かってると思っ―…何だその格好はッ!」
『え?ジャージ』
「ですが何か?じゃねぇしッ!パーチーにジャージって!」
オーマイガッて頭を抱えた円香は清楚な感じに気合いが凄い。
あれから…一週間…時の流れはとまらない。
『アタシが来ただけで有難いと思いなさいよ』
「あんたジャージなんて持ってなかったじゃん!わざわざこの日の為に買う服の系統が…女にあるまじきパジャマ代わり!?」
『一周回ってオシャンティー』
「どこがオシャンティーかッ!お洒落っつうのググれ!」
『声デカ!ここホテルだよ?』
「ハッ!しまったッ…あたしは既に戦場に立ってたんだった」
戦場…
一流のホテルだよ。
『…ねぇ、視線感じない?』
「あんたがジャージだからだ!こっち来な!」
待ち合わせ場所だったホテルのロビーから、トイレへ拉致られたアタシは。
個室に押し込められた。
「いい!?あたしが戻るまで一歩足りとも個室から出るな!」
化粧ポーチを押し付けた円香は鬼の様な顔で言う。
「薄くでいい…化粧しろ…つか…涎の跡を拭けぇッ!」
『歯は磨いたよ軍曹』
「ヨシ!ヨシじゃねぇわ!顔も洗ってこんか~いッ!」
変な捨て台詞を吐いた円香は、トイレから猛然と消えた。
『……誰にも見られないといいけど』
あんな鬼の形相。
『仕方ない。スッキリしたし…協力協力』
便座の蓋の上に座って、化粧をし始める。
『薄くね。後はリップ―』
ドドドドドッ
「ハァ~ッハァ~ッ」
『きゃ~痴漢~』
「あたしだよ!」
ドンドンドンッ
『ひッ…ホラーかッ』
ドアを開けたら乱れ髪の円香が紙袋を投げ付けてきて。
『早過ぎ』
「ハァ~ッハァ~ッいいから…化粧しろぉ…」
『終わったし』
「早過ぎッ!兎に角!着替えな服!」
『奢り?』
「奢るから!」
『キヒッ毎度~』
「!…あ、あんたまさか…この為に―」
『着替えるから。円香も化粧、直して。んで先行ってて』
「ギャッ時間!」
化粧ポーチを引ったくり、鏡へ向かった円香は修正を終え。
「寝癖も直しなよ!場所は!」
『上空』
「受付で名前、申告して!席で待つぞ三等兵!」
『いえっさ』
荒々しく消える足音を聞きつつ…ジャージを脱いだ。
『やり過ぎたかな。でも円香…面白い。ウケ…てない!』
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