第2話―嫉妬―

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「そうか…できれば早めにお願いしたいんだが…」 「内容にもよるが、用件は何なんだよ」 「今から言う住所の付近で薬物売ってる場所を調べてほしいんだ。薬はなんでもいい。シャブでもバツでも、とにかくヤバい薬売ってるとこで頼む」 「あ?なんでまた…まさか買う気じゃねぇだろうな?ゼッテー教えねぇぞ!!」 「馬鹿、仕事だっつったろうが!依頼人がやってるかもしんねぇんだ、頼むから教えろ」 「依頼人?…まぁた余計な事に首突っ込んでんのか、お前」 呆れた声を出されたが、無視して依頼人の住所を簡単に伝える。 過去にも何度か、依頼とは直接関係ない調査の協力を雄一にしてもらった事があり その度に呆れられてるのでもう無視するに限るのだ。 住所を伝えたあと、電話越しの声が急に大人しくなる。 少しして雄一は小さく笑い話し始めた。 「…なるほどな…こりゃまたなんの偶然だろうな。その住所からは少し離れてるが、薬が買える場所はある。”Silver Snake”ってバーらしい。実はうちの組もその店調べてるとこなんだよ」 「何!?ヤクザも絡んでるって事か?」 「ぁあ、確証がないからまだ探り入れてる段階だが…どうやらうちの傘下の組が御法度のシャブ捌いてるって噂があってな。その店が売り場の候補に入ってんだよ」 「なるほどな…でもこれでお互い都合のいい話になってきたな」 「どうやら、そのようだな。お前はそこを探れば、今回の依頼人について何かわかるかもしれねぇし、俺は俺で薬捌いてるのが事実とわかり、その大元の主を辿る事ができるかもしれねぇ」 「そういうこった」 「ま、それならこっちで掴んだ情報選んでお前にもちょくちょく流す事にするわ。ネタ代は、隆の体でね?」 「あー、はいはい…じゃ、頼んだぞ」 最後の言葉は適当に流して電話を切る。 とりあえず場所を調べる為、携帯を取り出し地図を保存する。 時間を見ると、まだ夕方だ。 「夜のが情報掴みやすいよな…」
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