第2話―嫉妬―

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その青年とはそこで離れ、俺はさっさと店を出る事にした。 まだ心臓がバクバクいってる。 探偵になってそれなりに時間は経つが、ここまで危険な事に首を突っ込んだ事はない。 平静を保ってはいるが、それもそろそろ限界となってきた。 早くここから出て、雄一に連絡しないと。 また店内は少し人が増えたようで、だいぶ狭くなった人と人の隙間を半ば強引に入り出入口へと進む。 「………は?」 だが出入口の扉に手をかける寸前 一瞬だけ見えた見覚えのある人物に手が止まる。 「あいつ…何して…」 その姿を辿っていこうとしたが、気がついたらもうそいつはいなかった。 「今の…絶対ナオだよな…」 ■ 「あの、三ツ谷さん…」 「え?」 「そんな見つめられると、照れるんですけど…」 「あ、や、わり…」 翌日、出勤していつも通りに事務仕事をこなしながらも 頭の中は昨日の事がどうしてもちらついていた。 そのせいか、どうやら気付かないうちに直樹を凝視していたようだ。 「何か話があるんですか?あ、今日の夜ご飯の事ですか?」 「や……なんでもねぇ」 「?そうですか」 そもそも、あいつがあそこにいたという確証はない。 一瞬見かけただけで、あいつに見えたというだけで。 仮に直樹だったとして、ただ呑みに行ってただけかもしれないわけで。 だが… 「なぁ、ナオ…」 「はい?」 「あ、や…何でもない…」 「もーさっきから何ですかー?今日三ツ谷さん変ですよー?」 俺はやっぱり、こいつの笑顔に弱い…。
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