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カーテンの隙間から僅かな光が射し込んでくる。
その光から朝だという事がわかり、開いた眼をこする。
体を起こそうと試みるも、体が重たい。原因は、自分が今寝起きだからという事だけではないみたいだ。
拘束されている体を無理矢理動かし、背後にいた人物の頬を軽くつねる。
「おいナオ、もう朝…っ…ぁ!」
「おはようございます、三ツ谷さん」
その人物は寝起きの寝ぼけた顔で服の中に手を入れ、乳首に軽く触れてくる。
その瞬間、軽くつねっていた頬を赤くなるまで思い切り引っ張る。
「いひゃああああ!みふやしゃん!いひゃい!」
「寝ぼけてないでとっとと起きろ。仕事だ」
「いてて…もうちょっと優しく起こして下さいよ」
「だったら素直に起きろ。朝から怒らせるな」
「はぁい…」
軽く頭を小突いてから体を起こし、身支度をはじめる。
俺と直樹のこんな関係は、いつの間にか数ヶ月続いていた。
■
鈴村直樹。
こいつが俺の勤める探偵事務所に入ってきたのは今から三ヶ月前。
「俺、三ツ谷さんに憧れてこの職業選びました!」
屈託のない笑顔で入所当日、直樹は俺にそう告げた。
初対面なのにいつ俺に憧れる瞬間なんてあったんだ?と疑問に思ったのを他所に、所長はどんどん話を進めていった。
「って事で三ツ谷、お前今日からこいつの指導よろしく。一通りの業務はできるみたいだから、今日からメインで動かして構わんぞ」
「はぁ…いいですけど」
最初こそ疑問が消えず戸惑ってはいたものの、直樹の仕事ぶりに次第と疑問は消えていった。
元々探偵養成所では優秀な成績だったようで、とろくさそうな外見からは想像できないぐらい完璧な仕事をした。
頼んだ仕事をなんでも素直にはい、と聞く姿はまさに犬そのもので、いつの間にか直樹は俺の従順な飼い犬となっていった。
部下に優秀な奴がきてよかった。最初はこれだけの感情。
そのうち素直な直樹に感化されてか、できる事はしてやろう。
俺が助けられる事は何だってしてやろう。
そう、次第に思い始めたのは事実。
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