第2話―嫉妬―

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結局仕事が終わるまで、昨日の夜のことは聞けなかった。 聞けないまま自宅に直樹と一緒に帰り、今日も当たり前のように直樹は俺の家でご飯を作る。 そして当たり前のように泊まるつもりらしく、着替えやら何やら持ってきている。 鼻歌混じりに作った食事を並べる直樹を見て、溜息をつく。 「なぁ、ナオ…お前いつまでこんな事続ける気なんだ?」 「???こんな事って??」 「だから、うちに泊まったり、ご飯作ったり…これじゃまるで…」 「まるで?」 言葉が詰まる。 この先の言葉は、言ってはいけない気がして 直樹から目を逸らす。 「三ツ谷さん?まるで、何ですか?」 頬杖をつき、ニヤニヤしながら直樹は俺を見る。 そんな直樹を見て、再び俺は溜息をつく。 「何でもねぇよ」 「ぇえーーっ!言って下さいよーー!今日三ツ谷さんなんにも言ってくれないー!」 「うるせぇな、いいからほら、飯にしようぜ」 そう言うと直樹は不貞腐れながらも箸を取った。 "まるで…" この先の言葉を言えば、きっと直樹は満足する。 でも… 「なぁ、ナオ」 「はい?」 「お前、昨日の夜何してた?」 「え…?」 隠し事があるやつと 俺はパートナーになるつもりはない。 私生活でも 仕事でも。  ■ 「隆、こっちだ」 「悪い、待たせた」 「俺も今来たとこだよ。珈琲でいいか?」 「ぁあ」 翌日の昼。 一昨日の件を報告する為に俺は雄一を事務所近くの喫茶店に呼び出した。 「何だよ、浮かない顔してんな。何かあったのか?」 「別に。大した事じゃない」 「ふーん?」 結局直樹は俺の問いに答えなかった。 "昨日の夜?なんでしたっけ?覚えてないや。とりあえずごはん食べましょー" いつものようにへらへら笑いながら誤魔化しやがった。 いつもそうだ。懐いてるフリして、結局肝心なことはあいつは何も言わない。 苛立ちながらも、とにかく今は案件に集中すべきだと気持ちを切り替え 今朝は寝ている直樹を無視して出社した。 「それより、例の店行ってみた」 「おー、仕事が早いねぇ。で?どうだった?」 「まだ確証はない、が…クロと見て間違いねぇだろうな」 「そうか…。売買の様子でも見たのか?」 「いや、俺に売られそうになった」 「はぁっ!?」
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