第1話―変化―

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後日。 今回の依頼人が事務所に訪れ、相談室にいると聞いたため 念の為、本人の話を聞こうと相談室の隣の部屋から盗み聞きしていた。 「あ、あの…こういうとこ慣れてなくて…手短に済ませたいんですが…」 「は、はい。えっと、弓永真澄さん、でしたね。ご主人の浮気調査という事でしたが、何か浮気を匂わせる動きがあったんでしょうか?」 「はい…最近主人の帰りが遅くて主人は仕事だって言い張ってますが女性物の香水の匂いをつけて帰ってきたり主人のスーツのポケットにピアスが入ってたり浮気してるとしか思えないんです…でも問い正そうとしても主人は話すら聞いてくれないしどうにか決定的な証拠を用意して優位にたちたいんです」 「なるほど。ご主人の帰りは大体いつもどれぐらいなんでしょうか?」 「いつも深夜を回ってます…」 「その時、ご主人の様子は?」 「お恥ずかしい話主人とはもうしばらく顔も合わせてないので様子がどう、と言われても…」 相談員と依頼人は順調に話を進めていた。 進めているように見えた。というのも、依頼人が早く帰りたそうに矢継ぎ早に無理矢理話を進めていたからだ。 単に苦手な場所だからか?それにしてはかなり急かしている。 違和感を感じながらも、気が付けば話はまとめに入っていた。 「話はわかりました、ではできるだけ浮気の証拠を集めたいと思います。期間は大体1週間ぐらいになるかと思います。証拠が集まっていてもいなくても、それぐらいの時期に報告をしますので。それまではこちらからのご連絡をお待ちください」 「はい…わかりました、ではこれで失礼します」 依頼人が相談室を出ていった頃、直樹が俺のいる部屋へと入ってくる。 「やっぱ三ツ谷さんここにいたー」 「なんだよ」 「依頼人の話、こっそり聞いてたんでしょ?どうでした?」 「それは相談員である高橋に聞いてこいよ…」 「まあそうなんですけどー、三ツ谷さんからも聞きたいんですー。だって三ツ谷さん、俺のサポートでしょ?」 唇を尖らせ、でかい体をしながらも上目遣いで俺を見るバカ犬。 バカだバカだと思いながらも、後ろでしっぽ振ってるのが見えてしまう俺も相当重症か… 「はぁ…わかったよ。とりあえず座れ」 「はぁい!」 なぜか目の前ではなく隣に座るバカ犬を無視し 依頼人の様子と状況を簡単に直樹に話した。 違和感については、話さなかった。
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