第1話―変化―

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 ■ 「戻りましたー」 「おかえり。いいネタつかめたのか?」 定時直前 浮気調査のため外出していた直樹が事務所へと戻ってきた。 どうやら結果は上々のようだ。 「まだ初日なんで何とも。でも真っ黒だと思いますよー」 「へぇ、なんで」 「うーん、えっと、社員の子たちに聞いた話だと、最近部長なんだか楽しそうーとか、その部長が最近残業せずに定時で帰ってるーとか、まぁあくまで噂程度で証拠はないんですけど、不倫の噂はすでに社内で広まってるみたいだし、黒じゃないかなって」 今回の調査対象は、ご主人の弓永晴太₍47₎ IT企業に勤めるエリート社員でつい最近課長から部長へと異例の出世をした優秀な社員。 見た目も40代には見えないほど若々しく、女性には間違いなくモテる。 不倫は確かにしていもおかしくない、が 「……不倫の噂が広まってるって事は、相手が誰かも検討ついてんのか?」 「ぇえ、まあ。でもあくまで噂ですよ?一緒にいるとこ見かけたとかそういう話ではないんで」 「そうか…」 「…?三ツ谷さん、どうかしました?」 「いや…別に」 今の直樹の話を聞いて思ったこと。 なんで、こんな不倫の事実がたくさん転がってそうな依頼に俺のサポートが必要なんだ。 なんで簡単に証拠集められそうなのに、あの依頼人はうちの事務所に来たんだ 本当に、決定的な証拠は何も出てこなかったのか 疑問が、膨らむ。
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