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「戻りましたー」
「おかえり。いいネタつかめたのか?」
定時直前
浮気調査のため外出していた直樹が事務所へと戻ってきた。
どうやら結果は上々のようだ。
「まだ初日なんで何とも。でも真っ黒だと思いますよー」
「へぇ、なんで」
「うーん、えっと、社員の子たちに聞いた話だと、最近部長なんだか楽しそうーとか、その部長が最近残業せずに定時で帰ってるーとか、まぁあくまで噂程度で証拠はないんですけど、不倫の噂はすでに社内で広まってるみたいだし、黒じゃないかなって」
今回の調査対象は、ご主人の弓永晴太₍47₎
IT企業に勤めるエリート社員でつい最近課長から部長へと異例の出世をした優秀な社員。
見た目も40代には見えないほど若々しく、女性には間違いなくモテる。
不倫は確かにしていもおかしくない、が
「……不倫の噂が広まってるって事は、相手が誰かも検討ついてんのか?」
「ぇえ、まあ。でもあくまで噂ですよ?一緒にいるとこ見かけたとかそういう話ではないんで」
「そうか…」
「…?三ツ谷さん、どうかしました?」
「いや…別に」
今の直樹の話を聞いて思ったこと。
なんで、こんな不倫の事実がたくさん転がってそうな依頼に俺のサポートが必要なんだ。
なんで簡単に証拠集められそうなのに、あの依頼人はうちの事務所に来たんだ
本当に、決定的な証拠は何も出てこなかったのか
疑問が、膨らむ。
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