第1章

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「旅の始まりから呪われる俺ってどうなの・・」 ほの暗い酒場の片隅を照明以上の光量でギラギラと照らしながら、俺は何度目か数える気にもならないため息を吐く。 あの後、近くにあった水溜まりに映った自分の姿に仰天した俺は、とりあえずこの世界の情報を求めてこの酒場にたどり着いた。 「(もしかしたらこの目も眩むような(色んな意味で)見た目は、この世界では普通なのかもしれない)」 そんな考えに一縷の望みを託してみたが、待ち受けていたのは全くありがたくない予想通り、完膚なきまでにイロモノ扱いのーー それはもう、 「俺達のオアシスに、超が付くほどのド変態がご降臨あそばされた」 レベルの視線だった。 呪われし魔鎧・ゴールデンぱいなぽぅ。 《パイナップル》でも《パインアップル》でもないらしい。 どうやら《ぱいなぽぅ》ではなく《ぱぁいなぽぉう》とちょっと舌を巻いて発音するのがポイントらしい。 いや、そんな事はどうでもいいのだが、当面、気が付いた問題点が二つ。 まずこの着ぐるみパイン、《脱げない、取れない、外れない》の呪われ三重奏。 そら恐ろしい程の絶妙なフィット感の裏に隠された、《俺もしかして、このままエンドレスパインなの?》という仄かな予感。 旅を始めるより何より、俺はこの鎧を脱ぎ捨てたい・・今すぐに。 そしてもう一つの問題点は、ステータス画面にある。 意識を集中させれば名前、レベル、職業、などが脳内に浮かび上がるのだが、この世界に来た当初、俺のステータスは 「レベル:1」 「職業:見習い勇者」 「名前:サトウ ユウキ」 だったはずだ。 だが今のステータスを見てみると、こうなっている。 「レベル:1」 →レベルを上げる為の行動を何もしていないのだから、それは仕方がない。 「職業:呪われし勇者」 →納得はいかないが、そこはグッとこらえよう。 「名前: ・・ぱいなぽぅ」
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