19人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「旅の始まりから呪われる俺ってどうなの・・」
ほの暗い酒場の片隅を照明以上の光量でギラギラと照らしながら、俺は何度目か数える気にもならないため息を吐く。
あの後、近くにあった水溜まりに映った自分の姿に仰天した俺は、とりあえずこの世界の情報を求めてこの酒場にたどり着いた。
「(もしかしたらこの目も眩むような(色んな意味で)見た目は、この世界では普通なのかもしれない)」
そんな考えに一縷の望みを託してみたが、待ち受けていたのは全くありがたくない予想通り、完膚なきまでにイロモノ扱いのーー
それはもう、
「俺達のオアシスに、超が付くほどのド変態がご降臨あそばされた」
レベルの視線だった。
呪われし魔鎧・ゴールデンぱいなぽぅ。
《パイナップル》でも《パインアップル》でもないらしい。
どうやら《ぱいなぽぅ》ではなく《ぱぁいなぽぉう》とちょっと舌を巻いて発音するのがポイントらしい。
いや、そんな事はどうでもいいのだが、当面、気が付いた問題点が二つ。
まずこの着ぐるみパイン、《脱げない、取れない、外れない》の呪われ三重奏。
そら恐ろしい程の絶妙なフィット感の裏に隠された、《俺もしかして、このままエンドレスパインなの?》という仄かな予感。
旅を始めるより何より、俺はこの鎧を脱ぎ捨てたい・・今すぐに。
そしてもう一つの問題点は、ステータス画面にある。
意識を集中させれば名前、レベル、職業、などが脳内に浮かび上がるのだが、この世界に来た当初、俺のステータスは
「レベル:1」
「職業:見習い勇者」
「名前:サトウ ユウキ」
だったはずだ。
だが今のステータスを見てみると、こうなっている。
「レベル:1」
→レベルを上げる為の行動を何もしていないのだから、それは仕方がない。
「職業:呪われし勇者」
→納得はいかないが、そこはグッとこらえよう。
「名前:
・・ぱいなぽぅ」
最初のコメントを投稿しよう!