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「なに熱くなってんの?誰もママのとこに帰りたいとか言ってないでしょ」
こいつは平気で人の勘にさわるようなことを言いやがる。まったく…
「あーはいはい!そんなことより本題だ!なぜここにいる智南!」
その質問を投げかけると智南は不敵な笑みを見せる。
「ふふふ、なぜ私がここにいるか知りたい?」
なぜかわからんが俺はとてもこいつの笑みが怖く見えた。
「あぁ…教えてくれ…」
俺はカラカラのノドに自分の唾液をゴクリと飲みノドを潤す。
俺はもしかしたら聞いてはいけないことを聞いてしまったかもしれない。
だがもう、後戻りはできない。
俺は意を決して智南の言葉に耳を傾ける。
「なぜ私がいるのか…それは彼のおかげよ」
そう言うと智南は身体を横に移動する。
すると先ほどまでまったく視界に入っていなかった者が俺の視界に入ってくる。
智南に合わせていたピントをもう一人の者に移し合わせる。
俺はそこに見える奴を知っている…
というより…
「おまえかー!!統士(とうじ)!!」
そうそこに居たのは立川 統士(たちかわ とうじ)俺の高校からの腐れ縁ダチ公。
黒色短髪のちょっと見た目がヤンキーっぽいやつだ。
先ほどチラッと説明したかも知らないがこいつが例のゲーム野郎で間違いない。
「ワリィ藍疾!花道入れちった♪」
俺に対し謝罪しているが本音はまったく思ってもないだろこいつ。
「なにテヘペロしてんだよ。ヤンキー風貌がやっても可愛くねぇーんだよ。あー1発殴っていい?」
俺は拳を握りしめ殴る準備をする。
今日ぐらいはいいだろ、なぁ神様。
「いやちょっと待て藍疾!なにお前こぶし握りしめてんの!?マジかよ!?」
俺の本気が分かったのか、少しビビり後ずさる統士
「あー、本気と書いてマジだよ。統士、その顔をこのこぶしで整えてやるよ!」
その言葉とともに俺は右腕を振りかぶる体制になる。
右手こぶしに今日の不運いや、今までの人生の不運を全て乗せる。
そして統士の顔面めがけてこぶしが一直線に向かう。
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