2人が本棚に入れています
本棚に追加
「脈拍、体温、上昇しています。精神状態が不安定です!」
「くそ、やはり無理か!」
耳に博士たちの声が届く。次の言葉は予想できた。
「亮人君。これ以上は無理だ。すぐにアーマー解除したまえ」
その予想通り。しばらく歯ぎしりしたが、視界に移る《CAUTION》つまり警告と言う文字を眺めて舌打ちをした。
「嫌です!」
「な!? 何言う!? やめるんだ。そっちがしなくても、こっちで無理やり解除するぞ」
それをしっかりと耳にしながらも解除される前に……、そんな気持ちの元、手首の機械、タッチパネルを操作する。
『ブレイクファンクション・スタンバイ』
耳には博士の「やめろ」の声が何度も響いた。でも、それでもやめる訳にはいかない。亮人には確かに硬い意思があった。剣が青白く光りだし、エナジーチャージが開始される。でも、そこまでだった。視界に移るのは冷徹な《ERROR》の文字。突如、右手にとてつもない衝撃が走り始めた。
「脈拍、安全圏をオーバー! 余りにも危険すぎます!」
「何をやっている。こっちで早くシステムを解除したまえ!」
亮人の意識はもうろうとし始めていた。まるで理性が遠のいていくような感じ。体はいたって普通に立っているはずなのにまるで亮人自身がそこにいない感じ。ただ、右手を中心に走る衝撃だけがやたら鮮明に残りながら。
だが、やがて意識が遠のいていき、最後に『システムダウン』という女性の機械音が聞こえると共に意識が完全にシャットダウンした。
最初のコメントを投稿しよう!