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隣に座るその子は高校生なのだろう。黒髪ショートヘアのその子は制服を身にまとって横に竹刀を掛けてある。多分、剣道部か何かで。でも、凄く小柄で顔も小さくてなんと可愛い小動物なのだろうかと思ってしまう。それとはまた対象的に、その子の逸らしている眼だけはきりっとしていて、戦士とでもいえる鋭さもある。
「いやあ、まあ、その色々とあって、頭は痛いわ。右手は痛いわ。体中がぼろぼろでして」
この子にやられた部分もあるけどそれ以外にもあの実験テストの反動がこの結果の大半を占める。もちろん、実験テストのせいだとか口に出せる訳はないが。
「そ……、そうなのか。すまないな。てっきり痴漢なのかと思ったからな。んでもってあたしのその……胸を見てがっかりして……、って、何を言わすか――――!?」
「いや、流石にあなたが勝手に言いました!?」
「ん、そうか? いや、そうか。まあいい」
まあいいのか……。なんか、凄く不思議なキャラクターをしているな。ふとそう思った。なんか堂々としているのか、していないのかよく分からない。と言うか、初対面でいきなり敬語使わず堂々とするのは何か凄い。一応亮人の方が年上のはずだが、まあ、それこそどうでもいいのか。
などと考えているとその子はふと亮人の右手に目を向けると慌てて手に取った。
「おい、その手、どうした? まさか、あたしがやってしまったのか?」
ああ、小さい手に自分の手が包まれている。なんかいい。とかじゃなくて、その腕を亮人も見た。するとさっきまで気づいていなかったが右手に軽い火傷をしていたのに気が付く。特に水ぶくれが出来てるわけでもないし、たいしたことはないのだろうけど、恐らく実験の時に受けた傷だろう。
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