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翌朝、朝餉を終えて鉄之助と兄のいる離れへ向かうと、二人とも食事を終えて身支度を整えているところだった。 「二人とも、準備はできたみたいだね」 「ああ、異人の先生。昨日は私まで泊めさせていただいてありがとうございました」 「それは土方副長に言ってくれ。鉄之助、体調は?」 「元気いっぱいだぜ!」 「それは見りゃわかる」 飛び跳ねる勢いで返事をした鉄之助に、私の背後から現れた土方が一言返した。 土方の登場に兄は姿勢をさらに正し、深く礼をした。 「屯所を出る前に、近藤局長に挨拶しに行く。ついて来い」 相手の状態を気にすることなく、土方はそう言うと背を向けて歩き出した。 兄と鉄之助は慌てて追いかけ、私はそんな彼らの後をのんびりと歩いた。 近藤の部屋には沖田もいた。 ちょうど遊びに来ていたのだろう。 近藤の隣に陣取り、べったりと張り付いている。 鉄之助が来てから近藤に相手にしてもらえていなかったので、その反動だろう。 物凄く幸せそうな顔つきだ。 「やあ鉄君、おはよう。お兄さんは初めまして」 「近藤局長、お初にお目にかかります。鉄之助の兄、辰之助と申します。この度は弟を助けていただき、さらに私までも泊めていただきましてありがとうございました」 「お気になされるな。困っていれば助けるのは当たり前のこと。鉄君も、早くお兄さんに会いたかったようだしね」
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