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桃のような甘い香りのする果物を受け取ると、疑問に思うことはたくさんあったのだが、喉がカラカラだった翠はなんのためらいもなくかぶりつく。
あ、甘い。
桃のような優しい味がして一口だけと思っていたのに全部食べてしまった。
「ありがとうございます。
とっても甘くて美味しかったです。
それにしても、なぜ私に果物を?
美味しかったからいいですけど。」
野衣はクスクスと笑い出す。
「あんなにいきおい良く仙桃を食べる奴は初めて見たぞ。
あれはな、仙桃と言って不老不死になれると言い伝えのある果物だ。
今、食べたのは本物だから時期に効いて不老不死になれるだろう。
渡したのは不老不死になりたいと翠が言ったからだよ。」
その言葉に翠は言葉が詰まる。
不老不死?
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