I and He

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「そう言えば、今日部活遅くなる?」 「多分」 楽しい?部活。と、やっと返事が返ってきた事にうれしくなって続ければ、何言ってるのと言わんばかりに不審そうな表情を向けられる。 いいじゃん、部活をやっていない身分としては、どんなことをやっているのか、どんな先輩や後輩がいるのか気になるんだから。 「楽しいとか別にない。普通」 「普通?」 相変わらずリアクション薄い。だけどこれでいきなりハイテンションになってあれこれ話されたら、それはそれでかなり怖いかもしれないし、「普通」とか言いながら少しだけ嬉しそうに笑っているのを見れば、普通に楽しいの位はわかるからいいけれども。 「次の大会、応援とか来るなよ」 私の心の中を先読みしたのか、彼が少し硬い声で言い放つ。やばい、この前の地方大会ではりきってお弁当を作って応援しに行ったの、まだ根に持っている。 3年になって初めて県大会に出場出来たと聞いて、上がってしまったテンションのまんま行動に移したのがまずかった。 一応見つかったら後で怒られるだろうなと、こっそり見に行ったつもりでいたのに、しっかり見つかってしまったみたいだ。 あの日はそれから数日間無視されたし、やっと無視が解除されたと思ったら思ったで、ネチネチと嫌味のようなお小言がさらに数日続いた。 それが嫌だとか、うざかったとかはなかったけれども、私を友達に紹介するのを嫌がるのはやっぱり凹んだ。わかっていた事だったのに、あの時は結構凹んだ。
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