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I and He
「おはよう!」
元気よく後ろから声をかければ、ちらりとこちらを向いて目だけで挨拶してくる。ここは声を張らなくてもいいからおはようって返してくれれば少しは勝った気持ちになるのに、彼は今朝も相変わらず通常運転だ。
「今日ってテストだよね?数学って何でああも訳わかんないのかな」
大体社会に出て数学とか必要ないと思うんだよね。足し算とか掛け算とかは必要あるかもしれないけれども、電卓叩けば終わる事だし、三角関数とか図形とかさ、必要ないと思うんだよね。だけど何であんなに配点高いんだろう。不思議に思わない?
朝からつらつらと話す私とは対照的に、彼は眠そうにあくびを繰り返すだけ。
知ってるんだから、どうせ昨日も遅くまでアプリゲームやってたでしょ?バレバレなんだから。
リズムゲームは私は全然ダメだし、出来てもかわいいキャラクターをくるくる操作して消していくもの位しかやらないけれど、彼がそれをやっている時は何だかいつもより真剣だし、手はテスト前の手持無沙汰にシャーペンを回している時よりもアクティブに動いているのは見ている。
一緒にやろうと言った所で気持ち悪がられるかもしれないし、向いていないから言う気もないが、後ろからこっそり見ていると、わりと面白そうだし何だか自分がやった気持ちになるから不思議だ。
課金とかは・・・やっていないと思いたい。だって怖いじゃない。アプリゲームって基本無料ってところ、実は落とし穴だと思うんだよね。
あれかな、考え過ぎなのかな。
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