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そこは砂漠、そこに赤いフードを被った黒い服の男が一人
鉄の大砲を背に担いで歩いている
すると男は膝から倒れ地面に横たわる
次に男の近くから声が聞こえた
「おいおい、こんなところで日光浴かよ」
少し笑いを含む声
「干からびて死んじまうぜ」
また聞こえる、男の背負っているその大砲からだった
「あぁ、そうだったな、死なないんだったなぁ」
男は動かない、大砲は気楽に話す
「ま、気長に待とうぜ、ここ国境付近だろ?」
ここは元ロトン帝国とライタニアの国境
なぜ元なのか、それはすでにロトン帝国は存在しないからだ
昨日まではあったのだ、昨日まではロトン帝国とライタニアが国境を中心として攻防戦を繰り広げていた
しかし今は砂漠、一夜にして国は消滅してしまった
何故かは今は誰にも分からない、生きてる者でもいない限り
「いや~正直驚いたよな、あの爆発で生きてるって…素晴らしい、うむ」
大砲が勝手に一方的に喋る
「しかしながらあれよな、恨みを買って国ごと消滅って…誰か来たみたいだな」
すると遠くから馬車が見えどんどんと近づいてくる
馬車が男の前で止まる
「じいちゃん、こいつ死んでる?」
ワゴンの中から子供が喋る
運転席から老人が降り男に近寄り耳を近づける
「いいや、息をしているぞ」
そう言うと更に老人は喋り男の顔を叩く
「御仁大丈夫か!?ソウヤ、水を」
「はーい」
子供が水筒を持って渡し、老人は男の乾ききった口に水を注ぐ
「おー、助かったぜ、爺さんサンキューな」
大砲が喋りだし、老人と子供が辺りを見渡すも誰もいない
あ、これメンドクサイ、大砲はそう思い喋り方を変えた
「助かります、御老人」
と男が声を発した
「気がつきましたか」
老人は男の肩を担ぎワゴンへと誘導する
「兄ちゃんこれ」
子供が新しい水筒を渡す
「サンキューな」
老人は運転席に戻り馬車を出す、男は水筒の水を飲む
「いや~驚きました、こんな所に人が倒れてるとは」
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