始動

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始動

「セフロの大盾が盗まれ、イデオラの大剣は行方不明」 「これは由々しき事態ですな」 そこには多くの元老院達が一人の男を円卓で囲むようにしていた 「ええ、弁解する余地もございません、この度は我らの失態です」 片手を自身の胸に当て男が頭を下げる 「にしては、余裕じゃないかのぅ」 「いえいえ、焦っております」 男がにこりと笑う 「だったらもっと懸命の探さんか!なんだそのにやにやと腹立たしいふざけた態度は!」 少し筋肉質な元老院が片手でテーブルを 叩き怒鳴る 「申し訳ございません、こう緊迫する場所だと笑ってしまうんです、気を付けます」 「まぁまぁ良いではありませんか、仕事はキッチリとしているのですから」 それを諌める小さい元老院 「ふん」 「してセフロの祭壇に膨大な残存魔力が残っていたとあるがこの魔力データ、我が国の人間と一致している可能性は」 魔力とは人間の内に秘められている力のような物であり、個別に波長が違うのである 「目下、調査中でございます」 「このような事態が陛下の耳に入れば…聖導騎士団を動かさなければならなくなる、今派手に騎士団を動かすことは国の存亡に関わる、分かっておるなエヒル・クラフトよ」 深々と頭を下げ 「御意に…」 そう男は声を出す、そして元老院長の様な年老いた男が話す 「行け『導外騎士団』長よ、陛下のおみ足にある石ころを退かし、道を開け」 頭を下げたままエヒルは口を開きにったりと笑みを浮かべながら言う 「御意に…」 「これにて審問審査会は閉会する」 木槌を打つ音と共に元老院の姿が消えるエヒルは直ぐに表情を戻す 「元老院の追求は」 後方から黒いローブの男が姿を見せる 「今の所は回避した、ああやってピエロを演じてればいいんじゃないか」 ローブの男は軽く笑う 「演じすぎて本当のピエロにならないようにしろよ?」 その言葉にエヒルも笑い返す 「それも面白いな、道筋ってのはひとつじゃないだろ?多方面から攻めないと、面白くない」 「で、イデオラとセフロのレプリカは出来たか?」 エヒルは懐からシガーケースを出しローブの男に葉巻を渡そうとしながら問う 「いいや結構…まだ解析に時間がかかるそうだ」
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