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しかし、これまでのことは対した事件ではなかった。これから起こることに比べれば。
休みの間にメガネ買いに行ったかなー・・・。
またカラスにメガネ取られてねーよな・・・?
いおりのことを心配・・・いや、間抜けに思いつつ保育園に向かった。
「・・・・・・は?」
園に着くと、目の前が女の子で埋まっていた。
・・・・・・正しくは、目の前に《 多分》いるであろういおりを女の子が囲んでいた。
いおりがいると思い声をかけようとしたが、かける間もなかった。
「いおりくん、おはよー!」
「いおりくん、今日は私たちと遊ぼーよ!」
聞き取れたのはこのくらいだ。あとは、ごちゃごちゃ混ざって聞きとれない。
でも、あいつの声は飽きるくらい聞いたからわかる。
「あはは、そうだね・・・。」
なんだよ、あいつ。ヘラヘラしやがって。
自分でもわかるくらい、おでこにしわが寄ってきた。
病気か何か分かんねーけど、胸が苦しいし・・・。何だよこれ、おかしい。しかも、女の子相手にイライラする。
おれがおれじゃないみたいで、怖い。
「いおり!!!」
『!?』
気づけば、おれは叫んでいた。みんなが不思議そうにおれを見る。
「あ・・・・・・。えっと・・・。」
やばい。よく、わからねぇ・・・。
「え、えっと・・・・・・。」
何か、言わねーと。
なんか、頭の中がぐるぐるしてきた。
「・・・ゆう、くん?」
「!!」
みんなの中心にいるいおりと目が合うと、もう、駄目だった。
「ゆうくん!?」
「・・・・・・ッ!」
おれは、その場から逃げ出してしまった。
振り向きざまに、視界の端に写ったいおりの悲しそうな顔が頭に焼きついた。
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