おかしいこと?

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「ママー、もうバス来ちゃったよー!」 「あら、もう!?」 いつもどおりの朝。猫さんのバスがやってきた。 「よーし、これで男前になったわよ。今日も、行ってらっしゃい!」 「うん!行ってきまーす!」 いつもどおり、黄色い帽子の上からママが頭をぽんぽんして見送ってくれる。 いつもどおり、ちょっと疲れちゃうくらいぶんぶん手を振ってバスに乗り込んだ。 「あかねちゃんおはよう!」 「おはよう。今日もそうたは元気ね。」 「うん!あっ、いおりくんおはよー!」 「!は、はい・・・。おはよう、ございます・・・。」 保育園から家が近いあかねちゃんといおりくんとはいつも園で会う。 今日もあかねちゃんは髪型ばっちり。二つ結びに小さいさくらんぼが揺れている。 今日も・・・いおりくんはびくびくしてる。友達だから、おはようでいいのにな・・・。 でも、いつもどおり。いつもどおり、だったはずなんだ。 僕のいつもどおりが崩れたのは、朝の挨拶の時だった。 「みんな、おはよう!」 『おはよーございます!』 「うんうん、元気な挨拶ありがとう!」 今日もニコニコ笑顔のまみ先生。いつもはここでお外遊びの時間になるんだけど・・・。 「ここでみんなにお知らせ!今日からね、新しいお友達が増えるのよ!」 『!!!!!』 みんながわくわくして騒ぎ始める。 「はいはい、みんな静かに!」 ・・・・・・。新しいお友達かあ・・・。男の子だったらいいなあ・・・。 先生が教室の扉をゆっくり開けると・・・。 「?あら?」 そこには・・・・・・。 誰もいなかった。 ・・・・・・。えー・・・・・・。 がっかりした空気に先生が焦って廊下へ行った。数分後、先生の声が聞こえた。 「あ、見つけた!あやかくん!」 あやかくんって言うんだ・・・。どんな子、なんだろう。 先生があやかくん?と手をつないで戻ってきた。 「あやかくん、自分でお名前言えるかな?」 「・・・・・・はい。・・・・・・あきみねあやかです。よろしくお願いします。」 あやかくんはペコリとお辞儀した。 その時にさらっと流れた肩までの綺麗な黒髪、低くて凛と響いた声、そして 「・・・友達になってくれると、嬉しいな。」 照れたようにはにかんだ笑顔。 その時に、頭の中で花が一斉に咲いたような、そんな気持ちになったんだ。 これが、ぼくとあやかの出会い。
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