25人が本棚に入れています
本棚に追加
「それにしても、あの時のゆうくん、可愛かったよねー・・・。」
「ああ!?何バカな事言ってんだよ!」
クスクス笑いながら寝ぼけたことを言う伊織。
・・・・・・ったく・・・。
「日頃はお母さんに雷落とされても泣かなかったのに、目をウルウルさせちゃってさー・・・、あー、ほんと可愛かったなあ・・・。」
「あー、もう!保育園の頃思い出すのやめろ、バカ伊織!」
公立翠璃が丘高等学校。昔通っていた若葉保育園からそう遠くない場所に位置している。
俺と伊織はご近所さんでもあり幼なじみでもあり、二人とも若葉保育園の近くに家がある。
通学の手間や学費を考えると、ここ以外選択肢は無かった。
カッコ悪いが、中学でも成績上位者の伊織に勉強の指導を頼み込んだ。付きっきりの指導のおかげで伊織は首席、俺もなんとかギリギリで晴れて合格した。・・・・・・のだが・・・。
「お前、ホンット性格変わったよな!」
「そういうゆうくんは、喋り方とかも昔から変わらないよね。」
伊織は泣き虫から一変、ドSに変わっていた。・・・・・・あの頃は、可愛かったのになあ・・・。
「まーた、変なこと考えてない?」
「うおあ!?」
油断していたら、消しゴムを額にポコッと当てられてしまった。くそっ・・・。
「きちんと勉強(と俺)に集中してよね・・・。放課後勉強付き合って欲しいって言ったのは、ゆうくんでしょ?」
「あ、ああ・・・すまねえ・・・。」
ん?なんか今、伊織の言ってることに違和感が・・・。・・・・・・気のせいか・・・。
カリカリ、カリカリ。
西日が教室をオレンジ色に染める中、問題集を解いていく。
「・・・・・・?」
いつもに比べれば順調に解いていたが、応用のところでつまずいてしまった。
「・・・・・・。」
なんだ、ここ・・・。xを代入・・・?いや、それだとここが・・・・・・。
意地で解こうとすると・・・。
パコッ
「いてっ」
最初のコメントを投稿しよう!