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「解けないなら、毎回きちんと僕に聞いてって言ったでしょ・・・?」
「・・・・・・はい・・・。」
教科書で軽く頭を叩かれた。
「おおー!すげーな!」
伊織の説明を聞くと、ほかの応用問題も解けた。
嬉しすぎて鼻歌まじりにまた問題を解き始めると・・・。
「ゆうくん、昔から変わらないね。」
「ん?今なんつった・・・・・・。!」
問題集から顔を上げると────
あのときみたいに、ふにゃりと笑った顔があって。
また、胸が疼いた。
「・・・・・・ゆうくん?」
「・・・・・・っ、なんでもねえ。」
顔を見られなかったかとか、変に思われたかなとか色んな考えが頭を巡る。結局、俺は昔のままだ。
それから、窓の外が薄紫に色づくまで、俺と伊織の勉強会は続いた。
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