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「ッはー!終わったー!」
伸びをしつつ、伊織と家路につく。
「言っとくけど、明日もだからね。」
「へいへい・・・。」
嫌そうなフリ。ホントは嬉しくて顔が緩んでしまいそうだが、悟られてしまえば変に思われる。
一生添い遂げる存在になれないなら、せめてできるだけそばで過ごしたい。将来は結婚式で、伊織と、伊織と共に幸せになってくれる女性を笑顔で祝福したい。
それが俺の願いだ。
どうか、その願いを叶えたい。
だが、叶えられることはなかった。
その日は何故か、家の近くの公園に寄っていこうと伊織が言い出した。
放課後伊織を付き合わせている身だ。それくらいのワガママはきいてもいいと思ったし、何より、少しでも長い時間一緒にいたかった。
そんな、軽い気持ちで承諾した。
だが、公園につくと・・・。
「伊織!?」
「・・・・・・。」
伊織は無言で俺の腕を引っ張って、どんどん公園の奥へ連れていった。しばらくすると、公園の入口から遠く離れた木の下で、壁ドン?をされた。正確に言うと、俺は体育座りのような状態で、左右を伊織の両手に塞がれた。
「いお、り・・・・・・?」
「・・・・・・。」
無言が怖いが、伊織の顔には悲しみが浮かんでいた。
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