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「!」
「俺も・・・、ゆうくんと同じくらい・・・・・・。いや、それよりも好きだから・・・。」
夜に近づく外気で冷えた体温に別の温もりが重ねられた。数秒後に、伊織に抱きしめられたことを理解した。
「・・・・・・へ・・・?・・・え、は、どうゆう・・・?」
「あは、混乱してる時の顔も可愛いー。」
反射で伊織を見ると、そこにはいつもどおり、小動物のような雰囲気の伊織がいた。
「・・・・・うっ、・・・!」
「え!?ちょっ、なんでここで泣くの!?」
意識しない内に涙が洪水のように溢れた。
・・・・・・良かった・・・、ほんとに良かった・・・。
「ご、ごめんゆうくんー!やりすぎちゃったのは悪いけど・・・!」
先ほどの雰囲気はどこへやら。手を宙でさまよわせながらオロオロしだす。・・・さっきの仕返しだ。少しは俺の気持ちを味わいやがれ、バカ伊織。あとこういうときは、その手は俺の頭にのせるんだ。バカ。
「で、その・・・。確認するが、さっきのは嘘・・・だったのか・・・?」
制服が汚れちゃうからーと今更なことを伊織が言い出し、しかしまだ家に帰るにも肝心なことが解決していないため、同公園のブランコに座って話している。
「んーん、嘘ではないよ。」
「え、つーことは・・・。」
「あ、いや、そうじゃなくってね!?・・・んー、なんて言えばいいんだろう・・・。」
うんうん唸りだす伊織。結局どういうことなんだ?
「えっと、俺がゆうくんを好きなことも、さっき言ったことも、全部思ってることだよ?ちゃんと好きだよ、ゆうくんのこと。」
「・・・あ、ああ・・・。」
少し落ち着いてきた時に改めて言われると、こう・・・。頬が緩んでしまう。嬉しい。
「ゆ、ゆうくん?照れてないで、きちんと聞いてくれる?」
「て、照れてねえよ!?・・・いいから、話続けろよ・・・。」
「うん。」
そして、ゆっくりとした口調で伊織は話し始めた。
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