文句なんて・・・ねぇよ。

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「正直言って、俺はゆうくんに不良になってほしくなかった。・・・授業とかはきちんと出てて、根っこの大事なところは変わってないこと、知ってるよ?でも、見た目のせいで周りから怖がられるようになったり、誰かと喧嘩をした翌日に手とか顔に傷をつけてきたりするのは、心の底から怒ってた。」 「・・・すまねえ・・・。」 「いや、まだあるよ。」 まだあるのか・・・。 「メガネ外した状態の俺が女子に告白されたの知っててもどこ吹く風って感じでヘラヘラしちゃってさ。それだけならまだしも、『これ4組の〇〇さんだろ?可愛い子だし、悪い噂も聞かねえし、良い子だと思うぜ。付き合ってみたらきっとお前も好きになるって。』とか。嫉妬どころか仲人さん並に勧めてくるし。・・・昔からずーっと気づいてたのに。嫉妬したゆうくんが告白してくるの、ずーっと待ってたのに・・・。」 そうだったのか・・・。・・・・・・てことは小学生ん時に既に気づいてたのか・・・。・・・・・・なんか俺、バカみてえ。 若干凹んでいる俺に対し、さらに伊織は言葉を続ける。 「一番は、俺と両思いかもーって微塵も考えないアホなところかな!」 「は、はあ!?普通考えねーだろ!」 「長年アピールしてたのに、鈍過ぎでしょ!もう・・・。」 そう言うと、伊織は深々とため息をつく。 ・・・・・・そんなアピールしてたか・・・? 「まー、でも!」 「!」 カシャンっと音を立ててブランコから立ち上がると、こちらに向き直る。そして──── 「!!」 「・・・やっぱり、照れてる時の顔が一番かわいーね・・・♪」 ────リップ音を立てて、俺の額にキスをした。 ・・・やばい、顔が熱い・・・! 「・・・鈍いからこそ、ゆうくんが誰にも取られなくてホッとした。」 「・・・お前以外、俺みたいなの好きになるやつ、いねーよ・・・。」 「ゆうくんが気づいてないだけだよ!ホントはそうであってほしいけど・・・。」 「馬鹿みてえ・・・。第一、俺は・・・」 お前以外、好きになんねえし、とその部分だけ小さな声で呟いた。・・・・・・カッコ悪いが、まだ照れがあるんだよ・・・! 「・・・・・・ありがと。」 「地獄耳かよ!!!てかお前も照れんなよこっちまで恥ずかしいわ!!!」 さっきまでガンガン攻めてきたくせに自分が言われたらそっぽ向きやがって。耳が赤いんだよバカ野郎。 そんなところも好きだけど。
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