25人が本棚に入れています
本棚に追加
「え、じゃあ、ややは今、ささの気持ち分かるの?」
「え!?あーとっ・・・あー・・・うん!」
全然分からない。どうしよう。でも、今更分かりませんとも言えない。ざいあくかん?がすごい。
「すごーい!じゃあ、今ささはどんなことを考えてるの?」
「ね、眠たいって・・・。と、とっても!」
誰でも見れば分かることを伝えると、そうたの顔の輝きが増す。・・・・・・ごめん。その顔で見ないで。さやかはさやかで苦笑いをやめて。
「わー、やっぱり双子って気持ちが分かるんだ!いいなあ!」
「う・・・うん・・・。」
そうたはあやかを引っ張って室内に入っていった。
・・・・・・そうた、ホントにごめん。心の中で謝ると、ふと、さっきからささが一言も話していないことに気づいた。耳を澄ますと聞こえる寝息。まさか・・・。
「・・・・・・むにゃむにゃ・・・。」
「ねるなー!ささ、もう朝の挨拶の時間になっちゃうよ!」
ささは靴箱に寄りかかって寝ていた。・・・・・・なんで立ったまま眠れるのか、まったく分からない。こういう時に気持ちが分かったら便利なんだろうけど。
またささを揺り起こしつつ、さっきのそうたたちと同様、教室まで引っ張っていった。
「よう!さやコンビー!」
「だからコンビじゃないってば!」
「んー・・・。」
「また寝ないでよ!ささ、バカにされてるんだよ!」
お絵描きの時間になると、ゆうたといおりがやってきた。また、ゆうたはからかってくる。
・・・・・・嫌だなあ・・・。毎回、さやコンビって・・・。
「・・・・・・やや?」
「おい、どうしたんだよ?」
急に黙り込んだぼくを心配そうに見上げてくるささ。不思議そうに聞いてくるゆうた。
今は、どちらの顔も見たくない。
「・・・・・・じゃないのに。」
「はあ?聞こえねえよ、もっと大きな声で・・・」
「ぼくは、ささの分身じゃないのに!いつもいつも、ぼくとささが同じみたいに言って!いい加減にしてよ!」
そう叫び、そのままあやかたちのところへ逃げた。
最初のコメントを投稿しよう!