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昼休み
ぼくはあやかを引っ張って、駆け足で園庭へ出た。
砂遊びの途中、ぼくはあやかに『好きな人』について聞いた。
「ねぇ、あやか。」
「ん?なあに?」
ほっぺに泥をつけたまま聞いてくるあやか。
・・・・・・なんか、胸がキューッとして、苦しい。
「・・・・・・。」
「!?・・・・・・ああ、そうたありがとう。」
泥を遊び着の袖で拭いてから、改めて聞いた。
「その、あやかは・・・。・・・・・・好きな人って・・・、いる?」
「!・・・・・・、うん、いるよ・・・。」
ふにゃっとした、照れ笑いで告げられた。・・・可愛いのに、胸がズキズキする。
「えっと、誰・・・・・・?」
「それは、内緒!」
「えー!」
よくわかんないけど、なんだろう、あやかの好きな人のこと、嫌いになっちゃった。誰か知らないけど・・・。
「そうたの、好きな人は?」
「んー、ぼくはあやかが好きー。」
「え!?」
え。なんで?あかねちゃんといい、あやかといい、ぼく、おかしいこと言った?
「あのー、そうた・・・。好きな人ってゆうのはね、ずーっと一緒にいたい人のことだよ?」
「?それ、あかねちゃんも言ってたよ。ぼくはあやかとずーっと一緒にいたいんだけど・・・。」
「うーん・・・。」
何故かあやかがうんうんうなり出した。えー、なんでー?
「えっとね、好きな人ってゆうのは・・・。その・・・。一緒にいると、胸がキューッとしたり、ズキズキしたりする人のことだよ・・・?」
「?だーかーらー、やっぱり僕の好きな人はあやかじゃん!」
「!・・・・・・そう、なの?」
「うん。」
「そっかー・・・。・・・・・・ぼくが女の子だったら、良かったのにな・・・。」
「何言ってるの?あやかは男の子でしょ?」
「うん・・・・・・。」
あやかは急に寂しそうな顔をした。・・・やっぱり、胸が苦しくなる。あやかには、明るく笑っていて欲しい。
結局その日は、あやかの元気がないまま、ぼくは家に帰った。
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