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「せーんーせー!」
「うわっ!」
聞き慣れた声と、背中に感じる温かい重み。
「おはよう、たいりくん。」
「おはようございます!先生、びっくりした?」
キラキラした眼と、満面の笑みで聞いてくる。・・・・・・こんなにも無邪気だから、怒れないなあ・・・。僕がたいりくんに甘すぎるのもあるんだけど・・・。それでも、心を鬼、いや大魔王にして怒らないと!
「たいりくん、急にほかの人の背中に乗ったら、めっだよ!その人も、たいりくんも怪我をしちゃうかもしれないからね。」
「せんせー、全然怖くなーい!園長先生のほうがもっと怖いよ?怒ったらツノが生えちゃうんだよー!」
「・・・・・・たいりくーん?お、は、よ、う。」
「・・・・・・え、園長先生!?わーーー、ごめんなさいーーー、ツノ生やさないでーーー!!」
・・・たいりくんはツノを生やした、もとい怒った園長先生に連れて行かれてしまった。・・・たいりくん、いい子だけどいたずら好きだからなあ・・・。元を言えば、僕がきちんと怒っていれば、たいりくんは連れて行かれずに済んだわけだから・・・。たいりくん、ごめんね・・・。
「せーんせ!いっしょに遊ぼう!」
「わっ」
朝のお歌の時間が終わると、たいりくんが後ろからぎゅっと抱きついてきた。ほんとに人懐っこいなあ、いけないとは分かっていても、やっぱり懐いてくれる子は特に可愛いと思ってしまう。
「たいりくん、お友達とは遊ばないの?いつもそうた君たちと遊んでるよね?今日はいいの?」
「今日は、いい。それよりせんせいといっしょに遊びたい。」
嬉しくもあるけど、やっぱり先生としては、この時期には同年代の友達と遊んだ方がいいと思う。将来は小学校に上がるし、そこでは今の保育園よりも人数が増えるから、同年代の子に慣れておかないと塞ぎ込んでしまうかもしれない。
「たーいりくーん!あーそーぼー!」
丁度すべり台の方からそうた君の声が。やっぱり、優先順位は僕よりも友達の方が上になってほしいな。
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