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「・・・・・・はあ、はあっ・・・。」
名前の通り小高い丘に位置しているため、予想していたよりも時間がかかってしまった。
軽く深呼吸し息を整えると、俺は目的を果たすため、体育館近くの掲示板へ向かった。
でかでかと貼り出されている新入生名簿。自分の名前は二の次で、必死に探す。あの名前を。
「あのー・・・・・・。」
「!?」
肩を叩かれ、驚き振り返ると────
「あ・・・、ああ・・・・・・」
あの頃よりも少し短い、風になびく綺麗な黒髪。低くなっているが、変わらず不思議と安心する声。
そして・・・・・・。
「・・・・・・また、よろしくね。」
お辞儀してから頭を上げた時の、照れたようなはにかんだ笑顔。
あれから「好き」にはどういう種類があるのか知った。けれど、今でもあの時と同じだ。
胸がキューッとして、苦しいけど嬉しくて。
「・・・ああ、こちらこそ・・・・・・っ。」
こんなにも「好き」という気持ちが溢れているのに。
なぜ、おかしいことなのでしょうか・・・・・・。
end
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