第1章

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私には友だちがいない。 元々おとなしく内気な性格と、陰湿そうな外見。 それに、無数のアホ毛ときたら、誰も近寄ってはこないの。 友だちは、ほしい。 だけど、自分からどう動いていいのか解らないんだ。 自分から声をかけたところで、相手は嫌がって逃げるだろう、 そうずっと思い込んできた。 ぷちっ。 ぷちっ。 ・・・あ、この手触り・・・。 すごい、三つ又の枝毛だ。 私は両手でまじまじとその髪の毛を見る。 手触りで「宝石」も枝毛も解るようになっていた。 今は物理の授業中。 怖いおっさん先生の目を盗んで、私はカバンからピンセットを 出した。 ぴーっ。 枝毛の先をピンセットで割いていく。 これも気持ちのいい瞬間のひとつなんだ
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