きりもなやの巻

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きりもなやの巻

 歌仙「きりもなやの巻」(流出子・冬泉)2016/03~04月  一枚目の表―――――――――――――――――――――――――――  発句【春】(初折) 目貼剥ぐ数多の想いきりもなや(流)  脇 【春】     散り敷いて知る木蓮の白 (泉)  第三【春】     しゅんと鳴る釣釜の先仰ぎ見て(流)  四 【雑】     松杉植えるまでの吃逆(しゃっくり)(泉)  五 【秋】(「月」)合戦も瓢を巡る酒の揺れ(流)  六 【秋】(折端) からり晴れたり月のぬけがら(泉)「月」  一枚目の裏―――――――――――――――――――――――――――  一 【秋】(折立) 碇星濡れて柄杓も間に合わず(流)   二 【雑】     袖を返して寝なおす夜半(泉)(待兼の恋)  三 【雑】     探しあぐねて気がつけば隣町(流)  四 【雑】     この筋書を書き替えるべく(泉)  五 【雑】     喧騒が彩る四分半ほどの(流)  六 【冬】     牡蠣をつまんでみことふたこと(泉)  七 【冬】「月」  サクサクと霜毎の月踏みながら(流)  八 【雑】     ゆるゆる歩め団子坂下(泉)  九 【雑】     寺町を抜けて墓石を顧みる(流)  十 【雑】     香ひとつかみ治天の君へ(泉)  十一【春】「花」  錦繍を身に纏う花憎からず(流)  十二【春】(折端) 遠流の島に胡蝶群れ飛ぶ(泉)  名残り(二枚目)の表――――――――――――――――――――――  一 【春】(折立) 蜘蛛の巣も露もみどりの茶摘籠(泉)  二 【雑】     深紫の銃痕穿ち(流)  三 【雑】     はかなしとすべなしの差 楚(すわえ)伸び(泉)  四 【雑】     わらしべ風に踊り候(流)  五 【夏】     分去れの道に失くした夏帽子(泉)  六 【夏】     蝉時雨越え使徒現るる(流)  七 【雑】     光あれ鯉めいめいの口あけて(泉)  八 【雑】     破瓜の痛みも忘れぬうちに(流)  九 【雑】     針運ぶパッチワークの一目ずつ(泉)  十 【雑】     シャントある腕慈しむ女(ひと)(流)  十一【秋】[月]   繊月に誘われ夜に落っこちて(泉)  十二【秋】(折端) 裏を返せば灯篭馴染む(流)  名残りの裏―――――――――――――――――――――――――――  一 【秋】(折立) 中二階ドールハウスに小鳥来て(泉)  二 【雑】     猫の絡まり遊ぶ鉄塔(流)  三 【雑】     こわれもの注意 刺身にポン酢ジュレ(泉)  四 【春】     山の笑いが広がってゆく(流)  五 【春】「花」  足もとの土ゆれ動く花ざかり(泉)  挙句【春】     丘駆け抜ける菜種雨かな(流)  ――――――――――――――――――――――――――――――――  ※ 流出子こと「り(PN)」が冬泉さまに遊んでいただいた歌仙です。
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