ストーリー ストーリー

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「お、即決だね。よし!決まった!おめでとう!しゃんしゃんしゃん!ハハハハ」。 俺は聞いていて、呆れるばかり。 「こっちを無視して…」 と、またつぶやく地味な俺。 「無視なんかしてないよ、勝手に黙っていただけじゃん!否定しないってことは…」 と、お袋。妙に沙里と仲がいいのが、時々面倒になる。二人して 「ねー!」 「ねー!」 なんて言い合っている。今日は、越後屋のおやじさんまで一緒になって 「ねー!!」 なんて言いやがる。  でも、俺のタイプは違うんだ。押しの強い、口うるさい奴より、素直で控え目な女子が趣味なんだ。だいたい、俺のような“いい人”は、ぐいぐい言い寄られると、つい、ハイハイと、平身低頭になってしまう傾向がある。そういう俺であっては、ますますただのいい人だ。それじゃ強引に押し切られて終わってしまう。な訳で、女子の好みに関しては、俺は絶対妥協しないぞ。  それにしても、この沙里の位置づけには、時々勘違いを招いたりもする。いつだったか、店の定休日に、大学のサークル仲間が、何人か集まった時だった。送別会でバーベキューをやることになり、その仕込みを店の厨房でちゃっちゃっとやってしまおうということになったのだ。ま、それはこじつけみたいなもので、実際は飲み食いが目的。あれこれ食って、ふうー、と、みんな満足しきった頃。仲間の一人が、(もちろん女子だ。高木真里菜さん、超可愛いんだ) 「これ、耕太郎くんに!」 と、隣から小さな包みを、テーブルに滑らせた。赤い包装紙に、金色のリボンが掛かっていて、ハートのチャームまで付いている。 「バレンタインにはちょっと間に合わなかったけれど」 「え?お、お、俺?」 高木さんは少し恥ずかしそうに、俺を見つめる。間に合わなかったって、実際三日前じゃないか。売れ残りなんかじゃない。早めに買って 用意していてくれたに違いない。これはいい流れじゃないか!他の奴らが 「なんだ、なんだ?」  
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