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ホウキとチリトリを片付けたところで、ちょうど音楽準備室から同じ班の女子達が出てきた。光希達の班は音楽室と音楽準備室の担当だったため、男女別で分担することにしていた。
「ちょっと男子っ。まさかサボったりなんかしてないよねー?」
気の強い笹岡麻耶が、光希達男子の一人一人と目を合わせる。
「そっち側、ずーっと騒がしかったんだけど?」
「サボってねーって! や、俺と淳はサボってたけど、鈴原はサボってなかったからっ!」
「はぁ? 何それっ。あんたと月村はサボってたんじゃん!」
「でも鈴原のお陰で音楽室はちゃんと綺麗になったし、別に結果オーライじゃね?」
「そういうことを言ってるんじゃないの! もー、隆平っていっつもこうなんだから……」
木山と笹岡がぎゃあぎゃあ言い合いながら音楽室を後にし、他の面々もそれに続く。
いつものように最後に音楽室から出た光希は、灯りを消し、扉も閉めた。
その間にも集団は消えていた。教室がある校舎への渡り廊下は階下にしかなく、音楽室は階段のすぐ隣に位置するため、早くも下の階に行ったようだ。
閉ざした扉の前で、光希は息を吐く。ほんの少し遠回りをしたくなって、階段ではなく長い廊下を歩いた。一人で歩く校内はいつだって自由だった。
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