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イシュガーノ帝国。東ユーラッド大陸の北東端、春夏秋冬の季節が必ず訪れる温暖湿潤気候下の地域に国土を構える帝政国家。
その帝国の西部、フェルガー地方にはヒヒロクと呼ばれる都市がある。
ヒヒロク最大の特徴はイシュガーノ帝国魔術学院が設置された、東ユーラッド大陸でも有数の学究都市という一点に尽きる。
魔術学院の設立と共に生まれ、魔術学院と共に発展した町、ヒヒロク。
魔術的な素材や物品に対する魔術学院の莫大な需要を受け、他所との交易も盛んに行われている。人の出入りも活発であり、常に国内流行の最先端を行く――新古の息吹に満ちた町だ。
微かに朝もやが立ち込むそんな町の一角にて。石畳の街路の脇にならぶランプ式の街路灯。その下に一人の少女が佇んでいた。
柔らかなミディアムの金髪と、大きなアクアマリン色の瞳、白っぽいマフラーが特徴的な年の頃十五、六くらいの少女。
決め細やかな肌は上質でさわり心地のよいシルクのよう。
清楚で柔和な気質がその容姿や立ち振舞いから匂い立ち、その楚々と整った顔立ちはまるで天使のように可憐だ。
一見、儚げな印象を見る者に与えながらも、同時にどこか芯の強さを感じさせる――そんな少女だ。
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