人嫌いな非常勤講師

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驚きながらも感心したような表情を浮かべる老人に、少女はぺろっと小さく舌を出して茶目っ気に破顔した。 「お嬢ちゃん、ありがとうな。助かったよ」 少女と老人が笑みを交わし合っていると、 「レイナ――っ! 遅くなってごめん――っ!」 遠くから駆け足の音が近付いてくる。見れば、通りの向こうから少女と似たような衣装に身を包んだ、もう一人の少女が駆け寄って来ていた。 「私、そろそろ行きますね? ごきげんよう」 「おう、お勉強、頑張ってな」 最後に少女は会釈をして老人に別れを告げ、駆け寄ってくる友人の元へ向かった。 早朝ゆえに閑散としたヒヒロクの表通り。 綺麗に舗装された道を、二人の少女は並んで歩いていた。 「もう、レイナったら律儀なんだから……先に行っててって言ったのに」 「うぅ、そんな……お嬢様を置いて行ったら、しがない居候に過ぎない私は、旦那様と奥様にお叱りを受けてしまいますわ」 「馬鹿。冗談でもやめてよね、私達は家族なんだから」 「あはは、ごめん。リュゼ」 そんな他愛のない、気安い会話が二人の少女の間で交わされる。
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