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「いや、だから、俺はそこまで怒ってなくて……ん?」
必死な謝罪に苦虫を噛みしめたような顔の男がレイナを見て、何かに気付いたように眉根を寄せる。
「……んぅ? お前……」
「あ、あの……私の顔に何かついていますか?」
戸惑うレイナに構わず、男はスッと顔をレイナに寄せていく。
いきなり、ぶしつけな視線をぶつけられてレイナは目を瞬かせた。
「お前、どこかで……」
首を傾げながら男は指でレイナの頬を突っつき、むにーっと引っ張る。
細い肩や華奢な体つきを眺めたところで……
「アンタ、何しとるんかぁあああああああああ――ッ!」
リュゼ怒りの上段回し蹴りが男の延髄を見事に捉え、男を吹き飛ばすはずが……
すでに男が危険を察して後退していた。
「ちょっとぉ! 女の子の身体に無遠慮に触っておいて逃げるとか信じられないッ! 最ッ低ね!」
「ちょっと待て、落ち着け!? 俺は見覚えがあるかもと思ってだな……」
ヒートアップしたレイナを止めることに、逃げ腰の男が制止しても聞かない。男は完全に詰んでしまっていた。
「君たちさ、魔術学院の生徒だろ? ここで道草食ってないで急げよ、俺は行くからな」
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